1. TOP
  2. アベノミクスは失敗したのか、それとも成功するのか?アベノミクスの問題点

アベノミクスは失敗したのか、それとも成功するのか?アベノミクスの問題点

 2015/05/05 経済
この記事は約 7 分で読めます。 453 Views

インフレと所得の時間差

2015 (3376)アベノミクスの問題点の一つはインフレ誘導を行なっても、所得が増えるまでの時間差にあります。

 

インフレが実現できてもそれで景気が良くなる訳ではありませんので、所得に直結する訳でではないのです。インフレが達成されて市場が活性化して企業収益が上がります。企業には不景気状況下での負債がありますので、その処理が優先されるでしょう。

 

そして所得に反映するには結構な時間を要する筈なのです。出来るだけのその時間差を少なくするように安倍政権は表明していますが、具体的な政策がある訳ではなく相応の時間がかかると予想されるのです。

 

 

また都市部と地方の時間差もあります。不景気になる時には同時になるのですが、地方の景気回復は都市部に比べると遅くなる事が多いのです。比較的零細な企業が多い事もありますし、人件費が安い地方ではそれを目的に進出している企業も簡単に上げる事が出来ない事情があるのです。そうなるとインフレで物価が先に上がってしまい所得が変わらないという苦しい状況が生まれる事になります。

 

 

景気が回復すれば先行きを楽観しますので預金の取り崩しで生活出来ますが、景気の回復は所得が増えてくれない事には難しい部分もあるでしょう。こうした時間差に対処する具体的な政策を出さない事には国民の楽観も得られないばかりか景気回復の速度を上げる事も出来ません。痛みの伴うインフレではなく、皆が幸せを実感出来るインフレを実現して欲しいと思います。

 

 

公共事業は借金

a (56)民主党政権下では緊縮財政をして小さな政府を目指しました。

 

しかし、実際に実現出来る事には限りがあり、理想と現実の違いに苦労したと思います。小さな政府を実現する為には長期計画で行う必要があり、短期間で実現出来る事には限りがあったのです。アベノミクスでは公共事業に投資して直接的な景気刺激策を行っています。

 

確かに必要な公共事業に投資するのは必要な事ですが、税収が減っている現環境化ではその財源を国債でまかなわなくてはいけません。その国債は国の借金ですからいずれは国民の税金で返済する事になります。そして長期の国債は若い世代や子供達が将来負担する事になってしまうのです。人口減少が続く日本で、借金を次の世代に回す事は非常にリスクの高い行為です。

 

万が一景気回復が遅れたり、景気回復が出来ない場合には税収が増えませんので、単なる借金を残してしまう結果となります。借金を前提にしている公共事業には批判の声が大きくなるのは当然の事と言えるのです。年収が400万円の人が1億円の借金を抱えて、更に借金で家を改築しようとしたら、誰も正常な感覚とは思いません。確かに日本には国有資産が沢山ありますし、国民の預金残高も高く豊かな社会であると言う見方もあります。

 

それでも、借金を続ける事の意味があるのかと言われればかなり疑問に感じてしまう人が多いでしょう。もし仮に世界が日本の借金を不適正だと判断すれば、日本は世界の信用を失い円安に歯止めの効かない金融危機になりかねません。財政の健全化は日本にとって重要な課題でもあるのです。

 

 

近隣諸国の警戒

日本の急速な円高に警戒感を強めている国があります。韓国と中国です。この二つの国は近年輸出を中心とした経済成長を続けていました。その背景には自国の通貨を安く抑えて国際競争力を確保して世界中に物を売っていたのです。

0-64

 

しかし、それは以前の日本の姿です。バブルの頃までの日本は世界中に物を売る輸出大国でした。それ以前は今の中国と同様に安い賃金と円安を背景にした生産工場として機能していました。近年日本の景気低迷と円高の影響はこの二つの国に大きな利益をもたらしていました。

 

666韓国は1990年代の通貨危機以降、経済政策として輸出産業に援助して為替を安く抑える政策を取っていました。

 

中国は経済成長が著しいと言われていますが、広い国土を持て余して一部の富裕層を生み出す程度の表面的な成長をしているのです。為替を市場取引せず自国で管理していますので世界の生産工場を自負していますが、内情はそれ程豊かになっている訳ではないのです。ある意味では日本の低迷がこの二つの国にとって有り難い事だったのです。

 

しかし、円安が進むと日本の国際競争力は回復してしまいます。多少高くても日本製品を信頼している人々は多いので自国の製品の輸出にとって障害になってしまうのです。実際に中国も韓国も日本の円安誘導を批判しています。もとを正せばこの両国も同じ事をしているのですから批判もおかしな話なのですが、それを言わずにいられないほど日本は脅威となるのです。

 

 

日銀の独立性について

a (62)日本銀行は政府からは独立している中央銀行です。国の意向で動くのではなく、独自の判断で動く自由が必要とされると考えられています。しかし、諸外国の中央銀行は政府によって任命された人がトップに就任します。

 

ですから完全な独立性があるのかは疑問と言えるのです。しかし、インフレ誘導に関して政府は日銀にかなりの部分を任せる事になりました。ある意味では日銀にそのように指導したと捉える事も出来ます。日銀は長い事デフレ脱却と景気回復を表明していましたが、その効果は殆ど現れませんでした。3月に日銀総裁に就任した黒田総裁が思い切った金融緩和を発表したのも、政府の後ろ盾なしには出来なかった可能性があるのです。日銀の独立性の確保は重要な問題として語られる事があります。時の政府の意向で金融方針を変えては一貫性が無くなり、通貨の信用に関わってしまうからです。

 

しかし、日銀が表明していた方向と政府の意向が一致している現状で独立性を語るのは意味があるとは思えません。同じ方向を向いているのであれば、協力して経済を支えるのが日銀にも政府にも求められているからです。アベノミクスでこの問題を語る人は多いのですが、少々論点がずれている気がします。目標とする所が同じな場合は協力して最大限の効果を発揮する事に問題はないと思うのです。まずは疲弊していしまった日本経済を回復させないと他の問題に対処するすべもないのですから、その事を優先すべきだと思います。

 

 

円安下での輸入

june (606)円安状況での輸入はコストを上げる事になる為不利になります。製造業も原料が上がりますし、原油や資源も全て価格が上がってしまう事になるのです。原材料が上がれば製品の価格に反映されて物価上昇が起きてしまいます。所得が上がらない段階での物価上昇は生活に直接のダメージを与えますので重要な問題となるでしょう。

 

現実に輸入している商品の価格は上がっています。輸入食材は特に顕著で既に1割以上の値上げとなっている商品もあります。デフレ環境下で下がり続けたり、もしくは安値安定していた食品が急激に上がり始めているのです。しかし、所得が変わっていませんので買える量が減ってしまいます。

 

食品は生活必需品ですのでこの事は生活にとって重要な問題となってしまいます。電気やガス料金の値上げも発表され、国民の生活にはますます負担が増えていく事になります。これで所得が上がらないのであれば負担増となってしまった分だけ損をしている事になってしまうのです。今後は消費財や生活必需品にかぎらず全ての商品が値上げに向かうでしょう。

 

それを受け入れる事が出来なければ景気回復は無いと思えば我慢は出来ますが、実際にどうなるのかは誰にもわからないでしょう。アベノミクスが描いたシナリオ通りに進めば良いのですが、違うシナリオが登場してしまうと世の中はまた混乱に向かうかもしれません。それだけは避けたいと思うのは私だけではないと思います。できるだけ早い景気回復を期待せずにはいられません。

\ SNSでシェアしよう! /

エコノミックマムル~グローバル経済から日本国内の貧困問題まで~21世紀ジャーナルの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

エコノミックマムル~グローバル経済から日本国内の貧困問題まで~21世紀ジャーナルの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

編集者

この人が書いた記事  記事一覧

  • 借金返済ができない場合の行動例

  • 過払い金請求を法律事務所に依頼するには、どうすれば良い?

  • 借金返済には債務整理が有効!弁護士に相談するにはどうのようにすれば良い?

  • 過払い金が戻ってこなかった場合の債務整理

関連記事

  • 【MEMO】日本のさまざまな銀行【備忘録】

  • AIIBで人民元をあてにするイギリス 河添恵子

  • アベノミクスの効果と目指す未来

  • 高金利とインフレ

  • 【備忘録】バブルの時代のサラ金・消費者金融【MEMO】

  • 中国の外貨準備高は「見掛けだけ」で使えない AIIB(アジアインフラ投資銀行)のインチキ