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総量規制入門

 2016/04/15 ローン・キャッシング・クレジット
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01 総量規制とは何ぞや

そもそも総量規制とは何でしょうか。これは2010年に完全施行された貸金業法によって定められているルールです。ルールの柱は二つあります。

一つは、自社内で50万円以上、また他社と合わせて100万円以上の借入を行う場合には、収入証明の提出が義務化されるということです。これは利用者に課せられた義務というよりも、業者がその提出を求めなければならないという意味で、業者の課せられた義務です。

そしてもうひとつの柱が、利用者の年収の3分の1以上の貸付を業者は行ってはならないというものです。これは他社も併せたトータルの額面であり、たとえば総量規制対象外と言われる銀行カードローンで借入を行っている場合、総量規制の対象にあたる業者に関しては、この銀行カードローンの額も、借入の総和のなかに含めなければなりません。

ただし、割賦販売による分割残高はこの中には含まれませんので、たとえばクレジットカードの分割払い残高や、住宅ローン、自動車ローンの残高もここには含まれません(ただし、参考材料とされる場合があることは、否定できません)。

この総量規制に違反して貸付をおこなっていることが発覚した業者は、行政処分の対象となります。たとえば貸金業者は、途上与信といって貸付を行ったあとも定期的に審査を実施しなければなりませんが、これを怠り、年収3分の1以上の追加融資がなされていて、こういうケースが常態化している場合には行政処分の対象となってしまうわけですね。

02 総量規制とあわせて大事な金利の話

総量規制と合わせて重要なのは、金利に関するルールです。総量規制というのは2010年に完全施行された貸金業法内のルールですが、この同年に出資法と利息制限法の改正も行われました。出資法においては、その上限利息が29.3%から20.0%に引き下げられました。この20.0%を超過しますと、その業者は刑事罰を課せられることになります。

また、利息制限法に関してもいくつか改正が行われ、たとえば、改正前までであれば業者と契約を取り交わすそれぞれの金銭消費貸借契約について、その元本に対する上限金利が適用されていたのが、改正後は同一債権者(同一業者)の場合には、その個別の金銭消費貸借契約の「合計額」を元本として見なさなければならない、という特則が新設されました。

利息制限法は出資法とは別個に上限利息を設けていて、元本10万円未満の場合は上限20.0%、元本10万円以上100万円未満の場合は上限18.0%、元本100万円以上の場合は上限15.0%となっています。この上限を超えた場合は、原則として民事無効であり、当然、出資法の20.0%を超えていた場合は出資法が適用されて刑事罰、また特に元本10万円以上の場合の出資法と利息制限法の中間金利で貸付を行っていることが発覚した場合には民事無効だけではなく行政処分の対象となります。

この、民事無効・行政処分対象となる上限に関する「元本」の定義が、個別契約上のものから、同一債権者であれば合算しなければならない、という風に変化をしたわけです。2010年には総量規制だけではなく、このような金利に関する大幅な改正がおこなわれ、業者にも利用者にもかなり大きな影響を与えました。

03 総量規制の最大のネックが闇金

2010年の改正貸金業法の改正に際して、おおいに議論されたのが「闇金融」が跳梁跋扈する可能性です。改正貸金業法において新たに導入された総量規制においては、年収の3分の1以上の額を、銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合から借入ることが出来ない旨が定められています。

このことによって、たとえば事業資金のつなぎとして消費者金融で借入を行っていたような人(特に個人事業主など)が予定していた新規借入を実施できないようになり、その事業計画が大きく狂わされるという事態が生じるのではないか、ということが懸念されていたましたし、現在でも一部で懸念され続けています。総量規制においては単独50万円以上、複数100万円以上の借入を行うに際しては、収入証明の提出が義務づけられているわけですが、ここにひと手間がかかってしまうというのも痛いところだ、というわけです。

おまけに消費者金融以外の銀行や信用金庫などでは、相対的に低金利であるぶん、審査へのウエイトも変わってきますから、なおさら借りれないという事態が想定されます。このような場合に、多くの人が闇金融に流れるのでは、ということが懸念されるわけですね。

ただ、闇金融に関する罰則はかなり厳しくなっており、無登録営業をしているというただそれだけで刑事罰の対象となりますし、出資法に違反して貸付をおこなった場合には、その元本すらも返済する必要がないという旨の最高裁判決が2008年に出されていますので、仮に闇金に流れたとしても、その後、トラブルに巻き込まれる頻度というのはかつてよりも低くなっているとは言えるでしょう。

04 総量規制が関係ないとは言っても・・・

総量規制に関係がない・・・たしかに銀行、信用金庫などのカードローンは総量規制に無関係です。また利用者に一方的に有利になる場合の借り換えも例外として対象外とされていますし、また専業主婦で収入がない場合には、収入のある配偶者の同意の上でなら、新規借入を行うことが可能である、ということになっています。

しかし、それはあくまでもルール上では可能である、という話であって、実際問題、新規借入が可能かどうかとういこととは、別の問題なのです。まず銀行や信用金庫のカードローンですと、一般的に(例外はありますが)消費者金融よりも相対的に低い金利での貸付を行っています。金融業界において「金利」というのはそのまま「リス値」と考えてよく、貸付先のリスクが低く見積もられている場合に低金利が実現されるいっぽうで「リスク値」が高い場合には、そのリスクに見合った高金利が付与されます。

リスクを高く設定することで、短期間での資金回収が可能であるわけですね(ちなみに預金準備制度によって、銀行系消費者金融業者は、仮に回収が不可であったとしても、実質的には損をしていないというカラクリが背後に存在していますが)。

また借り替え目的の新規借入に関しても、やはり審査があり、その審査で貸付を見送られるケースは珍しくありません。さらに消費者金融業者においては、法律上禁止されているわけではないにもかかわらず、配偶者貸付は禁止ということになっています。

05 総量規制と信用情報機関

貸金業者が、総量規制を遵守するに当たっては、当然、申請者の自己申告によって、その借入の総額を判断するわけにはいきません。業者は、貸金業法の定めによって、内閣総理大臣が指定する信用情報機関に情報の照会を行う必要があります。

なにも、貸金業法が規制されてから、このような信用情報機関ができあがったわけではなく、それ以前から、貸金業者は、信用情報機関をリスク管理策として利用していました。貸金業法によって、それが義務化されたわけです。

逆に言うと、このような貸金業者が自ら草の根的に創り上げた任意団体があってはじめて、貸金業法の総量規制は、その実効性を維持できるのです。

さて、内閣総理大臣指定の信用情報機関とはどこかと言うと、日本信用情報機構(JICC)と、シーアイシー(CIC)の二社です。これに加えて、銀行において個人向け融資を行うにあたって、全国銀行個人信用情報センターという信用情報機関も存在していますが、こちらは、指定信用情報機関ではありません。

ただ、これら3つの信用情報機関は、それぞれが連携して情報の相互供与を行う関係にあります。貸金業者は一般にCICとJICCの両方に加盟していることが多いようです。新規申込がありますと、このCICとJICC上のデータを照会し、他社との借入合算額において、利用社の年収の3分の1を超過していないか、また収入証明の提出に要する額面(他社合わせて100万円・自社のみなら50万円)に達していないかどうか、という点をチェックします。

06 総量規制のせいで新規借入ができなかったとしても・・・

総量規制があることによって、新規借入ができなかったとしても、貸金業法の規制を受けるのは、個人向けの金銭消費貸借契約を専業に営む貸金業者か、もしくは販売信用のかたわらで、そのような貸金業務を行う信販会社だけです。

つまり、銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合に関しては、この総量規制の対象外ということになっています。ただし、これら銀行等の機関というのは、兼ねてより個人向け融資にはやや奥手の面がありましたから、相対的に審査が厳しいという側面があります。

ただそれでも、平均的な収入があるのであれば、銀行等のカードローン商品を利用できる可能性は十分過ぎるほどあります。ゆえに総量規制があるからといって、ことさら落ち込むことはないでしょう。

いっぽうで、総量規制があることによって落ち込んでしまうケースというのは、収入的な水準などから、銀行カードローンの審査に通りにくいという場合です。あるいは信用金庫や労働金庫の審査というのは、ときに来店が必要な場合があり、そのプロセスがやや煩雑な場合もありますから、そのような手間を出来れば省きたいという場合があるでしょう。こういう場合には総量規制の意味が重みを持ってくるわけですね。

このようなケースに対しては、業界内でも賛否両論です。たとえば、求職活動をしようと引越しをするような場合には、転居先が賃貸である場合には、それ相応の初期費用がかかってしまうわけですが、求職中であるためこの費用すら捻出できないという場合があります。総量規制以前であれば、このようなケースに対して貸付の融通が原則は可能でしたが(もちろん、その当時でもリスク管理は行われていたでしょうが)、現代ではそのようなことが実質不可能となっています。

07 総量規制対象外はこんなとき

貸金業法における総量規制には、貸金業法施行規則第10条の23第1項において、その例外が定められています。それは、まず段階的な返済のための借り換えです。つまり現在の借金よりもより低い金利に借り換えを行うことによって、借り主は、より円滑に債務履行を実行できるようになります。総量規制の立法趣旨が、多重債務抑止にありますから、このような借り換えのための新規借入については、総量規制の例外として認められているわけです。

ただし、無条件でこのような借り換えが行えるわけではなく、業者ごとに、それぞれの審査があります。次に例外となるのは、医療費の緊急貸付の場合です。どうしても医療費として一時金が必要となる場合は、債務者の命にはかえられないということで、総量規制の例外が認められるわけですね。

さらに、配偶者貸付もまた例外として認められています。つまり、申請者本人が専業主婦(主夫)であったとしても、その配偶者との合算年収の3分の1以内の額までであれば業者は貸付を行っても良いというわけです。この場合には、配偶者の同意書が必要となります。

ただし、少なくとも大手の消費者金融でこの配偶者貸付を行っているところはありません。また、個人事業主の事業資金としての貸し付けもまた、同じ個人向け融資ではあっても、総量規制の例外となります。プロミスなどは、この部分を利用して、個人向けのフリーローン商品を販売しています。さらに最後に、預金金融機関の融資が実行されるまでの「つなぎ」資金としての貸付も、総量規制例外となります。すでに融資が決定しているが、融資までに期間がある場合のつなぎであれば年収の3分の1を超過していても良い、というわけですね。

08 借り換え・おまとめと総量規制

貸金業法においては、その施行規則の第10条において、借り換えのための新規借入に関しては、総量規制の例外となる旨が定められています。このことを踏まえて、消費者金融業者などでは「貸金業法に基づくおまとめローン」「貸金業法に基づく借り換えローン」というような表記で、借り換え・おまとめの新規借入を募集しています。

また、このような明示的な商品パッケージがなかったとしても、中小の消費者金融業者であれば、違法性のない、通常の借り換えであれば、新規の借入を融通してくれる場合も十分に考えられるでしょう。おまとめローンや借り換えローンというのは、厳密な区別があるわけではありませんが、自社で借入を行っている利用社が、他社でも借入を行っている場合に、その他社ぶんを自社に借り換える場合を「おまとめ」と呼び、いっぽうで、自社での借入はなく、他社借入を新規で自社借入に借り換えるという場合を「借り換え」と呼ぶ、という語法を採用しているところが多いかも知れません。

また、「貸金業法に基づく~」というような表記のある商品に関しては、新規借入のその瞬間は年収の3分の1を超えるということを前提としている商品であることが多く、その新規借入の使途は、そのローン返済に限られる、というかたちになっています。

つまり、借り換え用の新規借入金額を、消費者金融に出かけた帰りの夕食代などには使えない、ということですね。借り換え・おまとめの際に、業者が一括して、他社の借入を返済してしまうわけです。つまり自分の口座にお金が入ってくるわけではない、というかたちになります。

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